2021/07/23
生まぐろ水揚げ日本一「那智勝浦漁港」
那智勝浦町の味覚といえば「まぐろ」。勝浦漁港は、延縄(はえなわ)漁法による生まぐろ水揚げ日本一を誇ります。太平洋の荒波に育まれた天然まぐろは延縄漁法により漁獲されます。延縄漁は何十kmにも渡る幹縄から伸びるたくさんの釣針にムロアジ、マイワシ、サバ、イカなどの餌を付け釣り上げます。釣り上げたまぐろは、1本1本丁寧に活け締め処理した後、船内で冷水保存(氷温)を行うことで新鮮な生の味わいと食感、美しい色味を損なわず水揚げされます。
午前4時に勝浦漁港に行き、生まぐろの水揚げの様子を見学させていただきました。数本まとめてクレーンに吊り下げられたまぐろが次々と水揚げされる様子を、屋上駐車場から見下ろすことができます。

水揚げされたまぐろは、大きな金属製のかぎ針でひっかけ、種別やサイズごとに分けて市場内に並べられていきます。

那智勝浦漁港に水揚げされるのは、クロマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガマグロの4種。クロマグロ以外は年中水揚げされますが、クロマグロは1月から5月頃に水揚げされます。

午前6時半頃になると、長靴姿の仲買人たちが集まり始め午前7時頃から入札が始まります。2階のデッキから入札の様子が見学できます。
仲買人は、市場内に整列したまぐろの間を歩き回りながら、尾の付け根の断面、目の輝き、肌の艶などを確認し、鮮度や品質を瞬時に判断。1kgあたりの希望購入価格、屋号と魚体番号を記入した札を卸売業者に渡します。
最高価格をつけた仲買人がそのまぐろを競り落とすことができます。同価格の場合は早い者勝ち。仲買人は集荷された魚を卸売業者から入札形式で買い取り、買受人に販売する中間流通業者であり、まぐろの品質を見極め1本1本の値段を決めます。
那智勝浦のまぐろの呼び方、見分け方
【クロマグロ(通称本マグロ)】
海の黒ダイヤとも呼ばれる高級まぐろ。まぐろの中でもっとも大きくなる種類で、全長3m、重さ400kgを超えるものもある。他のまぐろに比べ、目は小さく、口元がえくぼのようになっていて、やさしい顔。勝浦漁港には、沖縄近海で産卵のために回遊する1月から5月頃に水揚げされます。
【メバチマグロ(バチ、ダルマ)】
目が大きくバッチリとしていることが名前の由来。クロマグロの次に大きくなり、ずんぐりとした体型から「ダルマ」とも呼ばれる。30kg以下のものは「小ダルマ」と呼ばれるそう。クロマグロに比べて脂は控えめですが深い味わいの赤身や中トロが人気です。勝浦漁港では周年水揚げされます。
【キハダマグロ(キワダ)】
肌(表皮)が黄色いことが名前の由来。メバチや本マグロに比べて細身であざやかな色が目立つ。勝浦漁港で水揚げされるキハダマグロはメバチマグロに負けず劣らずの身質で、腹身はクロマグロに近い味わいがあります。勝浦漁港では周年水揚げされます。
【ビンナガマグロ(ビンチョウ、トンボ)】
長い胸びれが特徴のまぐろです。そのスタイルがトンボが飛んでいる姿に似ているためこの呼び名がついた。勝浦漁港で最も水揚げが多く、一般的に缶詰の原料など加工品向き。勝浦漁港では船上で活け締め処理され、鮮度の良い生の状態で水揚げされ、もちもちとした食感が旨味を増し、刺身やまぐろ丼などにも使われます。 特に旬である12月から2月頃には身に脂が乗り「アブラトンボ」と呼ばれ、身色が淡い桜色になることから「さくらびんちょう」とも呼ばれます。
どの種類も特に冬の12月から2月頃の寒い時期にかけて脂の乗りが良くなります。東京築地でも評価は非常に高く、大トロは言うまでもなく赤身でも脂が程よくのり、熟成させることで旨みが増します。
生まぐろの水揚げが豊富な那智勝浦では、飲食店で新鮮なまぐろを安く食べることができます。街中にはたくさんの生まぐろセルフ販売所(無人販売)もあります。ほとんどの販売所で1パック200円で購入できます。
クロマグロや脂の乗った旬の生まぐろを食べに、今度は寒い時期に那智勝浦に行きたいと思います。今年は中止されましたが、毎年1月の最終土曜日にまぐろ祭りが開催されるそうです。