2018/03/15
ジャイナ教のこと
シュラバナベラゴラでは12年に1度のお祭りのため、インド国内から裸の修行僧たちが集まっていた。彼らは遠くから来る場合も決して乗り物を利用しないそうだ。
中にはかなり若い僧侶もいる。手に持っているのは孔雀の羽で作られた箒。小さな生き物を踏まないよう、座る前に箒で掃く。

謎の宗教「ジャイナ教」のことを改めて調べてみた。
ジャイナ教は、紀元前5~6世紀に王族出身のマハーヴィーラによって確立された。仏教とほぼ同じ時期に成立したが、仏教と異なりインド以外の地にはほとんど伝わらなかった。インドでは2,500年を超える長い歴史があり、インド国内に深く根付いている宗教の一つ。
ジャイナ教には、白衣派と裸行派がある。白衣派は、着衣だけは認めるという宗派で、裸行派は、着衣だけでなく托鉢の際に鉢を持つ事すらも認めず、徹底的な苦行や禁欲主義を行う宗派。
ジャイナ教の基本的な5つの教えは、生きものを傷つけないこと(アヒンサー)、虚偽のことばを口にしないこと、他人のものを取らないこと、性的行為をいっさい行わないこと、何ものも所有しないこと(無所有)である。
ジャイナ教の最大の教えはアヒンサー(非殺生、非暴力)のため、ジャイナ教信者の職業選択に軍人や屠殺業はない。土を耕せば土中の生命を殺してしまうため農業や林業も避ける。そのようにして非殺生の職業を求めれば商工業に従事することになるため、ジャイナ教徒には商人が多い。
肉食はもちろん厳禁。牛乳は飲むが、球根類は植物の殺生に繋がるため厳格なジャイナ教徒は口にしない。食べること以外で植物を傷つけることは植物への暴力とみなされるため厳禁。
動物に襲われたとしても、自衛のために動物を傷付けてはいけない。つまり、アヒンサーを忠実に守るためには死をも覚悟しなければならない。これは現世の身体は不浄のものであるから肉体に執着してはならないという考えに裏打ちされている。
アヒンサーを守るための最良の方法は「断食」で、もっとも理想的な死は、断食を続行して死にいたることである。マハーヴィーラも断食の末に死んだとされ、古来、段階的な修行を終えたジャイナ出家者・信者のみがこの「断食死」を許された。
ジャイナ教徒にとってのアヒンサーは、身体的行為のみならず、言語的行為、心理的行為の3つを合わせたもの。人を傷つける言葉を発することや心の中で他者を傷つけるようなことを思うことさえも罪と考える。
ジャイナ教はあらゆるものに生命を見いだし、動物・植物はもちろんのこと、地・水・火・風・大気にまで霊魂の存在を認めた。したがって、アヒンサーの禁戒のためにあらゆる機会に細心の注意を払う。宗派によっては空気中の小さな生物も殺さぬように白い小さな布きれで口を覆う。
イエズス会の伝道師たちがジャイナ教徒に顕微鏡で普段飲んでいる水をみせたところ、それをみたジャイナ教徒は飲み水に微生物があふれていることを知り、飲むよりは衰弱死を選んだという報告書の存在がトマス・ブルフィンチの著書に記されている。
寄付行為などの善行を重ねることで、来世で物質的に恵まれ、健康が得られるとも説く。生まれながらに特定の階層に位置づけられるカースト制度の色は薄く、現世での行為がより重視される。

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